政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
しかし、彼からの反応は全くない。
おそるおそる顔を上げると微動だにしない彼がそこにはいた。
私を抱きしめ返す力もなく、これが一体どういう意味をあらわしているのか必死になって考えるものの輪郭すら掴めない。
「楓君…?」
「そろそろ寝る。日和も酔ってきたから寝た方がいい」
「え…」
私の肩を掴んでぐっと引き離すと彼は立ち上がった。私と一切目を合わせることもなく、強制的にそれが終了してしまった。
(…頑張って抱き着いたのに、どうしたんだろう。何か気に障ることしてしまったかな?)
私はおやすみなさい、と彼の背中に声を掛けて部屋を出た。
部屋から出ると私は大きなため息を溢し、自分の部屋に向かった。