政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
今度は家の前にいるようで楓君に続くようにして私も小走りで玄関前まで行く。楓君がドアを開けると、そこには質の良さそうなグレーのスーツ姿の美女が立っていた。外はそれなりに寒いはずなのに、コートは羽織っていない。
「別に家の前まで来なくていいといっただろ」
「そんなわけにはいきません。今日は一泊しますのでお荷物もあるかと思いまして」
一つ一つの単語をハッキリと声を張って発声するからか、今まで会った誰よりも滑舌がいいように感じた。
彼女の目が私に向いた。
すぐに頭を下げて「初めまして。西園寺日和と言います」と、軽く挨拶をした。
するとすぐに清川さんも真っ赤な口紅の塗られた唇を引き上げて「清川涼香と申します。西園寺楓さんの秘書をしております」と返した。
高い位置で一つに束ねてある髪は真っ黒で艶がある。それでいて、目鼻立ちがはっきりしているから日本人離れしているように感じた。
「キャリーケースは私が、」
「いい。自分で持てる。これくらい」
荷物を取りに来たようで、清川さんは楓君のキャリーケースを持とうとすると楓君に制される。
「別に家の前まで来なくていいといっただろ」
「そんなわけにはいきません。今日は一泊しますのでお荷物もあるかと思いまして」
一つ一つの単語をハッキリと声を張って発声するからか、今まで会った誰よりも滑舌がいいように感じた。
彼女の目が私に向いた。
すぐに頭を下げて「初めまして。西園寺日和と言います」と、軽く挨拶をした。
するとすぐに清川さんも真っ赤な口紅の塗られた唇を引き上げて「清川涼香と申します。西園寺楓さんの秘書をしております」と返した。
高い位置で一つに束ねてある髪は真っ黒で艶がある。それでいて、目鼻立ちがはっきりしているから日本人離れしているように感じた。
「キャリーケースは私が、」
「いい。自分で持てる。これくらい」
荷物を取りに来たようで、清川さんは楓君のキャリーケースを持とうとすると楓君に制される。