政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
楓君は、私と舞衣子で食べたケーキに使った皿をキッチンに運んでいた。
「あ、ごめんね。ありがとう。今片づけるから」
「ん、いいよ。俺がやる」
「…ありがとう」
楓君は単調な声でそう言った。が、どういうわけか一切目が合わない。
皿を洗い終えた彼がソワソワしながらソファに座る私に近づく。
「あのさ、」
「楓君?」
「嫌いなもの、あった」
「…え?」
「王子様」
彼の発した言葉を何度も頭の中で反芻するがどうしても意味がわからない。
それが顔に出ていたのだろう。楓君は「別に知らなくていいよ」といった。
王子様という楓君には似つかわしくないワードを嫌いだといった彼は何を私に伝えたかったのか幾度となく考えても不明だった。
最近はハグもないし、距離が遠い。こんなにも近くで一緒に過ごしているのに手を伸ばせば届く距離にいるのに、誰よりも遠く感じる。
もっと、仲良くなりたいのに。
私はコーヒーを淹れ直して特に何か会話をするわけでもない楓君の隣に座る。
テーブルの上に並ぶ二つのカップから白い湯気が立っている。
「あ、ごめんね。ありがとう。今片づけるから」
「ん、いいよ。俺がやる」
「…ありがとう」
楓君は単調な声でそう言った。が、どういうわけか一切目が合わない。
皿を洗い終えた彼がソワソワしながらソファに座る私に近づく。
「あのさ、」
「楓君?」
「嫌いなもの、あった」
「…え?」
「王子様」
彼の発した言葉を何度も頭の中で反芻するがどうしても意味がわからない。
それが顔に出ていたのだろう。楓君は「別に知らなくていいよ」といった。
王子様という楓君には似つかわしくないワードを嫌いだといった彼は何を私に伝えたかったのか幾度となく考えても不明だった。
最近はハグもないし、距離が遠い。こんなにも近くで一緒に過ごしているのに手を伸ばせば届く距離にいるのに、誰よりも遠く感じる。
もっと、仲良くなりたいのに。
私はコーヒーを淹れ直して特に何か会話をするわけでもない楓君の隣に座る。
テーブルの上に並ぶ二つのカップから白い湯気が立っている。