政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
日和からのハグを思い出す。あの抱き着き方は反則だった。俺から求めていたくせに、いざ日和からされると“制御”出来そうにないことに気が付く。
日和は“キスは好きな人と”がいいと言っていた。(途中までしか聞いていないが…おそらく俺を気遣って最後まで言わなかったのだろう)だから今日のキスは絶対にしてはいけないことだった。予定外だった。
目の前にはぷっくりとした唇がある。
頬からその指を唇に移動させる。
「日和、好きだよ」
眠っている彼女にそう声を掛ける。すると、眠っているのに彼女はほんの少しだけ口角を上げた。
それを見た瞬間、やはり我慢が出来ない俺は日和を引き寄せた。
華奢な彼女の体を抱きしめる。ハグは一応日和も了承している。だから、これくらいは許してほしい。