政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】

その日、楓君の帰宅は非常に遅く、日付を跨ぐぎりぎりの時間だった。
私は夕食も終えて、お風呂にも入り終えていた。楓君が帰るまでは寝ないようにしようとソファの上でウトウトしていると、ドアが開く音が聞こえた。

すぐにリビングルームの扉が開き、楓君が疲れた様子で帰宅してきた。

「おかえりなさい」
「ただいま。寝ていてよかったのに」
「ううん!大丈夫!」
「それから、今日はありがとう」
「間に合ってよかったよ」

作っておいた夕食を温め直しながら今朝よりも顔色の悪い楓君に“パーティ”のことを聞こうとしたがやめた。
楓君が夕食を食べ終え、お風呂に入っている間寝る前の“おやすみなさい”を言うためにリビングで待っていたけど眠気が襲ってきたから自分の部屋に移動した。

しかし、自分の部屋のベッドに横になった途端、グルグルと楓君のことが頭の中を巡り眠いはずなのに寝付けないでいた。
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