政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
「…んっ…ふ、ぅ、」
しかし、次の瞬間、彼の舌が私の口内に入ってきた。驚き、そして混乱した状態で彼の胸に手を押し当てた。ぐっと力強く、“一度唇を離して”の合図だった。それなのに楓君は全くやめようとはしない。先ほどの約束を簡単に破られた。
「…んんっ…ぅ、…」
止めるどころか、その動きはまるで生き物のように動き回り、舌を絡めとられる。全身の力が勝手に抜けていく。角度を変え、繰り返されるキスは思考回路を破壊する。
食べられているようなキスは、刺激が強すぎる。
勝手に鼻に抜けるような吐息が漏れていた。彼にその声が聞こえるのが恥ずかしい。
何度も何度も繰り返しキスをしては私から力を奪い取る彼には何か特別な力でもあるのではないかと本気で思った。
「……ふぅ…はぁ…ん」
自分でも信じられないほどに色っぽい声が出る。
彼の手が私の手を握った。静まり返る部屋にはお互いの唾液が交わる音と体とシーツが擦れる音だけが耳を打つ。