政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
…―…
…
「ただいま」
「お帰りなさい」
相変わらずダルそうな声がリビングルームに響いた。それに反応するように私は顔を上げてちょうど料理をダイニングテーブルの上に並べている手を止めた。
ネクタイを緩めながら楓君は彼の部屋へ向かった。結婚しているとはいえ、政略結婚であり付き合いの期間もなくいきなり入籍という形を取ったこともあって私たち夫婦の部屋は別だ。
ワイシャツ姿のまま彼は髪をくしゃくしゃと掻き分けながらリビングへ戻ってきた。
普段よりも疲れているように見えた。
「最初にご飯で大丈夫ですか」
「もちろん」
「今日は!鶏の唐揚げです!醬油ベースです!それから、酢の物と…」
テーブルに並べてある料理の説明をするのは、食べられないものがないかの確認だ。確かに嫌いなものはないといったが念のため再確認をしている。
「ありがとう。いただきます」
「いただきます」
特に表情を変えることなく、彼と一緒に食べ始めた。
楓君は食べ方が綺麗だ。背筋は常に伸びているし、食事のスピードから箸の持ち方まで全てがパーフェクトなのだ。顔もよし、育ちもよし、性格も素敵だ。こんな人がいくら家のためとは私と結婚せざるを得ない状況を申し訳なく思う。
好きな人とかいないのだろうか。
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「ただいま」
「お帰りなさい」
相変わらずダルそうな声がリビングルームに響いた。それに反応するように私は顔を上げてちょうど料理をダイニングテーブルの上に並べている手を止めた。
ネクタイを緩めながら楓君は彼の部屋へ向かった。結婚しているとはいえ、政略結婚であり付き合いの期間もなくいきなり入籍という形を取ったこともあって私たち夫婦の部屋は別だ。
ワイシャツ姿のまま彼は髪をくしゃくしゃと掻き分けながらリビングへ戻ってきた。
普段よりも疲れているように見えた。
「最初にご飯で大丈夫ですか」
「もちろん」
「今日は!鶏の唐揚げです!醬油ベースです!それから、酢の物と…」
テーブルに並べてある料理の説明をするのは、食べられないものがないかの確認だ。確かに嫌いなものはないといったが念のため再確認をしている。
「ありがとう。いただきます」
「いただきます」
特に表情を変えることなく、彼と一緒に食べ始めた。
楓君は食べ方が綺麗だ。背筋は常に伸びているし、食事のスピードから箸の持ち方まで全てがパーフェクトなのだ。顔もよし、育ちもよし、性格も素敵だ。こんな人がいくら家のためとは私と結婚せざるを得ない状況を申し訳なく思う。
好きな人とかいないのだろうか。