政略結婚のはずですが、溺愛されています【完結】
ドリンクを貰う際に、「あれ?」と声を出していた。会場の入り口近くのテーブルの上に並べられている飲み物に目を移す。
この熱さやフワフワとした感覚はアルコールではないか、と思った。私が先ほど飲んでいた飲み物がアルコールとして配られていたからだ。
「すみません、アルコールの入っていないものを、」
「ノンアルコールのカクテルならこちらになります」
若い女性スタッフから笑顔でそれを受け取るが、やはり先ほど飲んでいたのはアルコールが入っているものだと気づく。清川さんが間違えて受け取ってしまったのだろう。
楓君の言う通り早めに部屋に戻った方が賢明かもしれない。
と。
「うわ、」
「あ!すみません!」
「あぁ、いいんですよ。僕もすみません。ちゃんと見ていなくて」
よそ見をしていたせいで男性とぶつかってしまった。そして私の持っていたグラスからカクテルが飛び出て相手のスーツにかかってしまう。
慌てている私とは対照的に落ち着いており、そして笑顔まで見せる男性は楓君と同じくらいの身長の好青年だった。