ながい、愛。
「ねぇ?恵夢…」
「んー?」
しっかりと愛を詰め込んだピロートークを済ませた後、自分の素肌の上に、さっき俺の着るはずだったバスローブを羽織っただけの早貴が、自分の洋服を探すのに寝室に備え付けのクローゼットの中を漁っていた。
そこで、ふと思い出す。
「あ!」
その声に、早貴は少しだけ悲しそうな顔で此方を振り返る。
「これ…」
と、俺の前に出されたのは、有名ブランドの袋。
中は流石に開けていないようだけれど、何が入っているかは明白……。
「あー…、」
「もしかして…見つけちゃいけなかったやつ…?」
ぽろり
さっきまでの小悪魔だった早貴はどこへいったのやら。
キラキラ光る、涙を一粒零して俺を見てきた。
何を勘違いしてるのか。
でも、突然のことに俺は少し狼狽えた。
自分の体に巻き付けていたシーツを半分べりっと剥がすようにして、早貴の傍に寄る。
「や、あの、それ…、今渡すつもりじゃなかったんだけど…。参ったな……」
ガシガシ
猫っ毛に更に寝癖が付いてるだろう頭を掻いて、照れて視線を泳がせる俺。
でも、何時までも二人半裸のままで、クローゼットの前に居座る訳にもいかず…。
「早貴、ちょっとこっち来て」
「ん…」
優しく手を引いて、ベッドに早貴を連れ戻す。
それに素直に従ってくれる早貴の眉は心なしかハの字になっている気がした。
そんな顔をさせたくはないのに…。
どうしてこうなるか。
俺はそこで、腹を括って深呼吸をすると、口を開く。
口の中は心なしか、カラカラだ…。
「あの、さ…」
「うん…」
「俺達…結婚しない、か?」
「………え?」
じっと俺の瞳を覗き込む、その中には照れ臭そうにしている自分が映っている。
「駄目、かな?…俺はもっと早貴と一緒にいたいし、もっともっと二人で一緒に幸せになりたい…早貴はさって…うわぁ…っ」
ぼすっ
いきなり横タックルして、ベッドに俺の体を沈めてくる、早貴。
あまりのその勢いに、思わずおかしな声が出た。
「そんなの、良いに決まってる!ばかっ」
「ちょ、」
かぷり
喉仏を軽く噛まれて、それから耳元で囁かれた。