社長と同居しているだけです。結婚に愛は持ち込みません。
嫉妬

翌日、モヤモヤした気持ちのまま出社すると、いつも情報の早い優香が、嬉しそうに話しかけてきた。


「花梨、ビッグニュースだよ!」

「優香、朝からどうしたの?嬉しそうだね。」


憂鬱な顔の私とは打って変わって、優香は嬉しそうな顔のまま、大きく息を吸って、一気に話し始めた。



「花梨も大好きな、デザイナーの桐ケ谷美和さんが、うちの会社と契約して新ブランドを立ち上げるらしいよ!」

「…えっえええ…デザインの妖精って言われている、桐ケ谷美和さん?」



優香は大きく縦に首を振りながら、目を大きく開いて頷いた。


「花梨、しかも、今日ここに桐ケ谷さんが来るらしいって、みんな噂してるよ!」


桐ケ谷美和とは、デザインの妖精といわれる世界的にも有名なデザイナーだ。
エレガントでキュートなそのデザインから、妖精というニックネームがついている。
おまけに、桐ケ谷美和 本人も、透明感のある美しい女性で、その外見も妖精のようだと人気がある。
もちろん私も、桐ケ谷美和の大ファンで、アパレル業界で働きたいと思った大きな理由の一つだ。


優香の話を聞いて、モヤモヤしていた気持ちはどこかに飛んで行ってしまったようだ。



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