社長と同居しているだけです。結婚に愛は持ち込みません。
パーティー出席のための準備ができたころ、葵さんが控室に迎えに来てくれた。
私の変身ぶりに少し驚いている様子。
葵さんに、何を言われるか不安になっていると…
「花梨、思っていた以上にそのドレスは似合っているな。今日のヘアスタイルもアップで、なかなか良いぞ。」
「…あ…ありがとう…ございます。葵さんのお陰です…」
葵さんはニヤリと微笑むと、自信満々に話し始めた。
「花梨、忘れたのか? 俺はお見合いの席で、お前を、俺と釣り合うように変えてやると言ったはずだ…約束は守るぞ。」
葵さんの俺様ぶりには少し驚いたが、パーティー用のスーツを着た葵さんは、カッコ良すぎて、まるで王子様のようだ。
光沢のある黒のスリーピースに、白のドレスシャツ、リボンのようなネクタイが華やかだ。
自信満々の言葉は、王子様にはお似合いだ。
「さぁ、花梨、会場に行くぞ。一応、言っておくが、俺のそばを離れるな。何があるかわからないからな。」
葵さんは私を自分の腕に掴まらせると、エスコートするように歩き出した。
私の心臓はドクドクと大きな音を立てている。
このままでは、パーティーの最後まで持つのだろうかと心配になるほどだ。