社長と同居しているだけです。結婚に愛は持ち込みません。


翌日、葵さんは早速、動き始めた。


桐ケ谷美和が独立する前に、一緒に働いていた同僚を見つけたようだ。
その同僚と会い、何か美和について知らないか尋ねるようだ。



「葵さん、気を付けてくださいね。桐ケ谷喜一郎さんが気づいたら、どんなことをするか心配です。」

「あぁ、気を付けるよ。花梨も何かあれば、すぐに俺に連絡してくれ。」


桐ケ谷美和も恐い女性だが、喜一郎はさらに何をしてくるかわからない。
葵さんが、危険な目に合わないよう、祈ることしかできなかった。


今日は土曜日なので、私は仕事が休みだ。葵さんが出かける玄関まで見送りに出る。



「花梨、今日帰って来たら、渡したいものがある。なるべく早く帰るようにする。」

「はい。気を付けてくださいね。待っています。」


笑顔で葵さんを見送るが、なぜか少し嫌な予感がする。

私はなるべく考えないように、掃除や洗濯など溜まっていた家事に専念した。


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