ムボウビハート
「お待たせ、あらた。」
「ぜーんぜん?」
なんだか、ご機嫌さんなあらたは、あたしの手を引いて、歩き出した。
「どしたの?今日は。」
再び重ねた質問に、
「遅番、だったろ。夜道を独りで歩かせられるかっつーの。」
あたしの手を握って、左右に大きく揺らしながら歩く、あらた。
「たまには夜の散歩もいいだろ?人通りも少ないし、な。」
夜道を2人でゆっくり、歩く。
空にはキレイな、お月さま。
穏やかな、2人きりの、時間。
赤信号に捕まって、立ち止まる。
「ってかさー、結構律儀、だな。俺もあんずも。」
前を向いたままの、あらたのコトバに、
「ん?」
ゆっくりと、聞き返した。
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