ムボウビハート



 キレイに歩幅が揃うのは、身長差を埋めるためにあらたが、あたしの歩幅に合わせてくれているから。



少し前までは、必死にあらたの背中を追い掛けていたっけ。



振り向いたあらたは決まって、



「ワリー速かった、な。」



はにかんで、笑ってた。



ヨユウがないんだよ、俺。



なんて、付け足して。



今はぴたりと揃う、歩幅。



つないだ手の、あたたかさ。



ふんわり光る、横顔。



そのすべてが、愛おしく、大切だ。




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