愛を教えて欲しくない
最後の1人の自己紹介が終わったあと、担任がまたなにか語り始めたけど、私の心にはそんな話に頷けるほどの余裕はない。
原因の自己紹介を終えてから、ずっと私の髪を梳いたり、三つ編みをして遊んでいる慧にじとっとした湿っぽい視線を送るが、気づく気配はない。
小さい子がお気に入りのおもちゃで遊ぶような楽しそうな瞳でくるくると指に髪先を巻き付けている。
思えば、昔から慧は私の髪がお気に入りだったな。
瞑想に耽るように閉じた瞼に慧と初めて出会ったときのことが映された。