愛を教えて欲しくない
「それで、なんでここにいるの?」
「あぁ、それはね首席だからだよ」
褒めてと言わんばかりのしたり顔を浮かべて全く答えになってない答えが返ってくる。
「…返答になってないんですけど」
「だからあ、首席で合格できちゃったから、あわよくばを狙って先生に言ってみたんだよ。」
「なにを?」
本当に首席で合格したのかと疑いたくなってくる程、問いと繋がらない答えばかりを返してくる癖に無駄に優雅な表情で話すので、だんだん腹が立ってきた。
「僕の幼馴染は小さい頃から体が弱くて倒れちゃわないか心配だから同じクラスにして欲しいって言って、まなちゃんのお母さんに頼んで書いてもらった手紙渡してお願いしたら一緒のクラスにしてくれた」
口角を上げながら淡々と話し…待って。今「まなちゃんのお母さんに頼んで書いてもらった」って言った?
「えなんで、あの、お母さんが手紙って、え、書いてもらったの?」
「うん」
「私そんなの聞いてない」
あたふたと自分に顔を近づけ理由を求めてくる私の顔をまじまじ見つめながら、サプライズ、と笑っていつの間にか離れていた手を握り直してきた。
「…は?いや、だからなん」
前から扉が開いた音が聞こえて、音の方向に顔を向けると、入学式の入場のとき先頭でクラスを先導していた先生が入ってきた。
そういえば担任だとか言ってたな。名前なんだっけ。
名前を思い出そうと記憶を辿ってみるけど一向に思い出せずに顔をしかめていたら、担任に続き、数歩遅れて入ってきた2人の男女に思わず二度見する。
担任に席に座るよう促された2人は、自分の席に座って私たちを見つけると、両手でピースサインを作りながらウィンクを飛ばしてきた。