何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「大事な事は何も教えてくれないんだね…。ずるいね…。」
みるかの冷たい目が、かずさを睨み付けた。
城下町の路地裏に二人は居た。
「あんたは何を望んでるの?」
尚もみるかは、まくしたてるようにかずさに問う。
「…何も…。」
かずさはいつもとなんら変わらず、落ち着いた声で小さく答えた。
「見たいんでしょ?自分の見た通りの未来かどうか…。」
「…。」
かずさは、みるかの事など、相手になどするつもりはないようで、遠くに上がる花火の方を見ていた。
「—————自分の予言した通りの世界か!!」
そして、みるかの叫びが、花火の音と共にその場に木霊した。