何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「初代の天師教が言ったそうや。我を信じろってな。そうすれば平和な世が訪れる。」
「ああ、それ前に聞いた事ある。」
「だから…。」
「人間は弱いから…何かにすがりたいんだね…。」

ヒューバーン

それは不思議と天音の口から零れ落ち、あるべき場所へとはまっていく。

『人は、弱い生き物じゃからのう…。』

今なら士導長のその言葉の意味が、少しわかる気がする。

「…。」

(やっぱり、天音しかおらん…。)

「…天音なら…救えるかもな…。アイツを…。」

りんの強い眼差しが天音へと向けられた。

「え?」
「天音…。妃になれや。」

そして、りんは天音の瞳を見つめたまま、ゆっくりと微笑んだ。



「…うん。」



天音もその笑顔に答えるように、ゆっくりと頷いてみせた。



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