何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「天音。ここには雪は降らないわ。」
「え…。」

そこで初めて顔を上げて、天音はかずさの顔を見た。

「ここに雪はもうない。」
「なんで…。」

悲し気に揺れる瞳が、かずさをじっと見つめている。

「それは夢だから?」

かずさはいつもの無表情のまま、天音を見つめ返し、その言葉を彼女に投げかけた。

「それとも現実だから?」


ザ―


また冷たい風が天音の頬をかすめた。



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