何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】

その日は、とても暖かかった。
村のあった荒野を後にした京司と天音は、あの町を目指した。
天音はあれから一言もしゃべらなくなった。

「見えた!あれだろ?」

沈黙を破ったのは、やはり京司だった。

「…。」

しかし、目が真っ赤に腫れた天音は、未だ堅く口を閉じたまま。
泣き疲れた彼女は、声を出す事も億劫になっていた。


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