何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「ふー。」
「めずしいね?緊張?」

星羅は大きく息を吐いた。
そして、そんな星羅の隣で、華子が面白そうに笑ってみせた。

「どういう意味?」

星羅はいつものように真顔で、華子を見つめた。
緊張を隠せないのは事実だが、やはり星羅は星羅らしく、背筋をピンと張った。

「にしても、天師教様が体調不良で会うのができなくなったからって、今度はなんで皇后様なんだろう?」

そう、天師教とは会う事はできなくなった。
しかし、妃を選ぶ事を取りやめにする事は今更できない。
そのため、天師教の代わりに、皇后が妃候補に会って選ぶ事になった。
そして、それはまた星羅からやり直しとなった。

「天師教の母親だから。」

星羅が噛みしめるように、そうつぶやいた。

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