何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
朝日がまぶしい。光が目に染みる…。
それは何日ぶりに見た朝日だろうか…。

「泊めていただいて、ありがとうございます。シスター。」

相当疲れていたのか、天音はこの教会で眠ってしまった。
シスターはそんな天音を見かねて、快くこの教会に三人を泊めてくれた。

「あなた達に、神のご加護がありますように。」

そう言ってシスターは、優しく彼らを見送ってくれた。
まるでマリア様のように微笑みながら…。


「さってと!どうせ行くあてないんやろ?だったら、わいとけーへん?」

教会を出た二人に、りんが提案してきた。

「え…?」

しかし、京司の表情は一変した。
彼に着いて行くという事は…。

「ちょっと付き合ってーな。天音!」

そんな京司にはお構いなしのりんは、天音の顔を覗き込んで、ニッと笑った。

「…うん。」

天音達には、もちろん行くあてなどない。
とりあえず天音は、深く考えずに静かに頷いてみせた。

「ホナ、行くでー!!」

そして、りんが元気よく、先頭をきって歩き出した。
中月町の外に向けて。

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