何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「リーダー!!」

ここは反乱軍の本拠地。
一人の男が慌てた様子で、反乱軍のリーダーと呼ばれる男を呼んだ。

「どうした?」

リーダ―が慌てた様子の仲間に駆け寄った。

「反乱の討伐軍が出たそうです。」

神妙な面持ちで、男がそれを口にした。
そう、天使教の指揮のもと、国からの討伐軍がこちらへ向かっているという情報が、彼らの元へと飛び込んできた。

「そうか。各地の仲間達にも伝達しろ。」
「ハイ!!」

リーダーは落ち着いていた。そう、彼は、こうなる事をわかっていた。
いつかは真っ向から、国へと対峙しなければならない。

「リーダー、そろそろですね…。」

時は、刻一刻と近づいてきている。

「…仲間は増えた。でも、戦力の中心に立つ者がいない。」

しかし、リーダーは、今はまだあの城下町へともう一度足を踏み入れる事は、考えていなかった。
このまま城へ向かっても、こちらが不利になるのは目に見えている。

「…アイツがいてくれたら。」

リーダーがポツリと言葉を漏らした。

「アイツ?」

仲間の男がその言葉に反応し、リーダーを見た。

「…ジャンヌの右腕。」

そう、リーダーは待っていた。彼の事を。

< 54 / 287 >

この作品をシェア

pagetop