何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【後編】
「目を開けて―!!」
皇后が悲痛に叫んだ。
京司は、すぐ様医者が処置を始めたが、意識が戻る事はない。
「あなたも、あの人の所へ行くの?」
皇后のその唇は真っ青で、震えている。
しかし、彼は何も答えない…。
電発塔の時とは訳が違う。あの大量の出血。そして青白い彼の顔色。
その光景を目の当たりにした皇后は、冷静ないつもの自分を保ってはいられなかった。
「これは、私への…罰なの…?」
皇后は、その場で泣き崩れた。
「皇后様。天師教様はお優しい方です。そのような事はありません。絶対に。」
騒ぎを聞きつけやって来た士導長は、皇后に寄り添った。
(絶対にそんな事はあってはならない…。)
士導長も信じられないその光景に、目を疑いたくなった。
しかし、今は信じるしかなかった。
京司の生命力を。