揺るぎのない愛と届かない気持ち
付き合い出した俺たちは、いつもと何ら
変わることがなかった。
いつもの俺たちだった。

いつもの俺たちに、二人でデートしたり
食事をしたり、キスをしたり、
身体を重ねたり、、、
普通の恋人同士のようだったが、
どこかが違った。
絶対にこの人と、、、という思いはなかった。
この人でいいかと、という思いはあったが。

だから、
他に用事があればそちらを優先したし、
特に仕事に関しては、
長内を忘れるほど打ち込んでいた。

「ねぇ、東吾。」

「ん、、、」

長内の部屋にいた日だ。
その頃はもう、
身体を重ねることもしなくなっていた。
何かが少しずつ自分の中で
違って来ていたから。

「私たちさぁ、、、」

「恋人をやめないか。」

「。。。。。」

そう長内の言葉を遮って言った俺の言葉に、
瞬間長内の目は大きく見開かれ
そして
クシャりと笑って

「それ言おうと、思ったの。
私たち、友達同志のままが
一番収まりがいいと思って。

私は一番じゃないと嫌なのよ。
東吾は優しくしてくれるけど、
私は東吾の一番じゃないでしょ。」

「。。。。。」

「自分が忙しかったら、
いつまでも放って置かれる恋人。
抱いてって言わないと、
抱いてくれない恋人、、、、
東吾のことを恋人として殺したくなる前に、
友達に戻ろう。」

「そうだな、、、
なんか違うって思ったまま、
ずるずると付き合ってしまった時間が、
本当に申し訳なかった。
長内のことが嫌いなわけではないけど、
俺たちの二人の未来が想像できないんだ。

きっとこのまま行ったら、
友達にも戻れなくなる。
無責任かもしれないけど、
恋人同士を解消して、友達に戻ろう。」

そう言って、
俺はそのまま長内の部屋から出た。
もともと
何も長内の部屋には
何も置いていなかったので、
来た時と同じように出ただけだ。

それからは
恋人同士の期間があったことなんて、
夢の中の出来事だったように、
何の不思議もなく、友人同士の付き合いが
また始まった。
フットサルの仲間たちも驚いてはいたが、
それをきちんと受け入れてくれた。
長内もマネージャーを続けてくれて、
以前と何ら変わりない日々が、
戻ってきた。

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