揺るぎのない愛と届かない気持ち
「待って!」

布団の中から女が顔を出す。

「これは違うの!違うの!
やめて、写真を撮るのは!」

女が焦っている。

「不倫の証拠。
長内 薫(おさない かおる)さん。
お久しぶりです。
去年のバーベキュー会以来かしら。
確か、もうすぐ結婚されるのではなかった?
あなたの隣の人も招待されたって
言っていたけど。」

夫 篠原 東吾(しのはら とうご)の
隣にいる女性は、
東吾さんと会社での同期。
しっかりとキャリアを積み、
課長職も間近なはず。

年下の幼馴染とこの秋に結婚するという話で、
あのバーベキュー会にも一緒に来ていて、
私たち夫婦とも顔馴染みだった。

夫とは同期で若くして二人とも
将来を嘱望され、
いつも切磋琢磨をしてきたと
東吾さんが言っていた。

お互い仲が良いのは知っていた。
しかし
過去はいざ知らず今もこういう関係だとは、
夢にも思わなかった。

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