揺るぎのない愛と届かない気持ち
「W不倫ですか、、、
ちょっと忘れ物をしたから取りに戻ったら、
不倫とは程遠いだろうと思っていた夫と、
その職場で仲のいい結婚式間近な女性が、
私と夫が使っていたベッドで、
仲良くおやすみだなんて、、、」

「違うんです!」

「ちょっとした出来心ですか?
間が悪いことに、
男の妻に見られてしまって、、、

お相手の方はご存じなのかしら?
東吾さんとあなたがこういう関係って。」

思いのほか落ち着いている自分に
驚いていが、
しかし、
自分はこんなに嫌なことを面と向かって言う
人間ではないはず。
やっぱり落ち着いていないのかもしれない。

落ち着けるはずないじゃない。

夫の不倫現場に出くわして、
しかも、
それが自分たちのベッドで二人が
寝ているところだなんて。
そのベッドで、私たち夫婦も親密な時間を
過ごしていたのに。

「紗英らしくない言い方だな。
長内の写真を撮るのは勘弁してくれ。
これから結婚するのに。」

彼から信じられない言葉が出てきた。
はぁっ!!

「そうね。そうやって庇ってやっている
長内さんは
何もなかったかのようにめでたく結婚されて、
あなたは私と離婚するのよ。」

「紗英っ!俺は離婚なんて、
離婚なんてする気は。」

ほら
焦っている。

妻の目の前でよその女とベットにいる男が
何を言っているのやら。

「私に見なかったことにしろって、
言っているの?

残念ながら見ちゃったの。

あなたには離婚、長内さんには慰謝料を
請求させてもらいます。

こんな時に、、、一生許さないから。」

「違うんです。
私がマリッジブルーになってしまって、、、」

「あなた、東吾さんが既婚者だって
ご存知ですよね。
私たちの結婚式にもいらしたんですから。

それで、今回は鬼のいぬまを
狙ってのことですか。」

「紗英、君らしくない言い方だよ。」

「私らしくないって、、、あなた、、」

私は怒りのあまり言葉を失った。

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