揺るぎのない愛と届かない気持ち
母は続けてあの日、
手術室の前で何があったのか話してくれた。

「お父様がね、東吾くんに尋ねて、
彼も正直に答えたの。

答えたんだと思うわ。

前の晩に同期の女の人と、
彼は親友だと言っていたけど、
つい二人とも飲みすぎて
一人で帰れなくなった彼女を泊めたって。

紗英が帰って来た時、
ちょうど
ベッドで裸の彼女ともつれあうように
ってところで、お父様の鉄拳が彼の顎にヒットしたの。

もう、怒っちゃって、、、
結局は病院から二人とも追い出されたのよ。
あんなに怒ったお父様を見るのは初めて、、、

私は東吾くんに怒りもあるけど、
呆れてものも言えないってところ。」

「お父様、血圧が上がったんじゃない。」

「そうね。
それで、
紗英たちは東吾くんの元には帰さないって。
二人とも
家でこれから自分たちが守って行こうって、、、」

「東吾さん、あの日彼女をどうしたんだろう。。。」

「少しおやすみなさい。
3時頃、ベビちゃんが来るから、
それまでゆっくりとしている方がいいわ。」

「そうね、、、」

私はまだ疲れやすかった。
母とあの日の話を少ししただけで、
もうぐったりとしていた。

彼とは今後のことを
ちゃんと話し合わないといけない。

離婚届の用紙を母に
もらって来てもらうのは、、、悪いかしら。




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