揺るぎのない愛と届かない気持ち
「東吾さん!私にはあなたがわからない。
この状況でどう落ち着けっていうの?
私たちの家で、私たちのベッドで、
あなたが一緒にいるのは
私ではなくその、
私が知っているその女(ひと)よ!

長内さんっ!!早く、服を着て!

東吾さんが私に落ち着けって言っています。
この状況で落ち着いていられるか、
あなたの婚約者を呼んで、
私と同じような目に合わせて、
それで婚約者が落ち着いていられるのなら
きっと、私がおかしいんでしょっ。

早く呼んで!」

私はだんだんと興奮してきて
喚き散らすように言った。

長内さんはそれに比例するかのように、
蒼白になってきて少し震え出してきた。

東吾さんが、そんな長内さんを心配する。

「早く呼びなさいよ!」

「紗英、いい加減にしないか。
長内が怯えているだろう。」

「馬鹿じゃないの。自分たちがしでかしたことで、
こうなっているのに。

そんなに長内さんが可愛いんだったら、
私と別れてから
一緒になればよかったでしょっ!!」

彼女が泣き出した。

「不倫相手の妻から詰られてくらいで
泣くぐらいだったら
初めからこんな薄汚いことなんか
しなければいいのに、

最低ね!」

「紗英、お前は勘違いをしている。」

東吾が長内さんの背をさすりながら私に言った。
そのさすっている背は、裸ですけど。

「この後に及んで、勘違い?
サレタ私ではなく、さっきからずっと
長内さんを庇って、優しく背中をさすってあげて、、

今更、
思い出したように手を離されても
一連のあなたの長内さんに対する、
優しい行為を見せられていたら
勘違いも何もあったもんじゃないでしょ。

吐き気がする。。。」

私はもうここに一瞬たりとも居たくなかった。
本当に吐き気がしてきて口を手で押さえて、
二人に背を向けて
トイレに向かおうとしていた時
長内さんの叫び声がした。

「血ぃっ!!血が出ている!!」

どちらかが怪我をしているのかと思って
急に振り返った途端
目眩がした。

自分の股から生ぬるい何かが流れ出るのを
感じたのと、
同時に
急激な下腹痛に襲われた。



「うそ、、、、、」

出血しているのは自分だった。


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