揺るぎのない愛と届かない気持ち
突然の紗英の姿に
俺は焦った。
何をどのように言おうか、
頭の中が真っ白になった。

長内は、顔面蒼白になって
俺の横で固まっている。
裸体を隠すのも忘れてしまうほど。
しかし、そんな自分に驚いたのか、
叫び声をあげて布団の中に潜り込んだ。

その姿が、また紗英を刺激したのだろう、
いつもの紗英らしからぬ激昂した口調に
俺も自分を立て直すことができず、
あろうことか、長内を庇うことしかしなかった。
長内を庇うことで、
自分を正当化したかったのだ。







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