私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
私は瀬川菜々美。名前は可愛いが、もうすぐ30になるアラサーだ。
中肉中背。平均的日本人顔。いわゆる何処にでもいるタイプ。
一浪で大学を卒業した後、某有名商社に入社し広報部に籍を置いている。
先ほど簡単にご説明した様に、私は幼い時に父を亡くした。
それからは、母が女手ひとつで育ててくれたのだが、
私が高校3年の時に、母も病で亡くなってしまった。悲しい…。
それから色々あって…何とか、お一人様で頑張ってきたのだ。
それが、つい先日会社に架かってきた電話で一変した。
天涯孤独のはずだった私に、親族がいると言うのだ。
信じるまでには少々時間がかかってしまった。
いきなりそんな事を聞かされて、『はいそうですか』何て言える訳がない。
どうやら、亡くなった父は家を勘当されていたらしい。
母は勘当された後に結婚したので、生家については全く知らなかったのだろう。
両親は何も言い残さなかったし、私も寝耳に水の事だった。
『貴女様のお祖母様が先日お亡くなりになりました。』
「私に祖母はおりません。」
『その方が、貴女様に遺産をお残しになりました。』
「私に祖母はおりません。」
この不毛な会話が、冒頭に繋がる。
会社に連絡してくるほど切羽詰まっていたのか、弁護士は強引だった。
祖父の代理だと言う二人の弁護士と会う事になったのだ。
今さら…父も母も亡くなっているのに、祖父だという人は何を考えているのだろう。
ホント、金持ちの考える事は庶民にはわからない。