私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠
あの残念な三者会談から一週間後の日曜日。
私は眉間に縦皺弁護士…高村誠治の運転する車で、軽井沢に向かっていた。
「どうして…。」
「え?どうかしましたか?」
「いえ、私は何であなたの車に乗ってるのかな…と思いまして。」
高速道路を慎重に車を走らせながら、高村は苦笑していた。
後部座席に座っている私をバックミラーで見ながら話かけてきた。
「すみませんね。私がお祖父様から貴女をお連れするよう命じられまして。」
「今日、もうお一人は…。」
「上条は一足先に鳴尾家の別荘に行きました。」
「そうですか…。」
はあ~とため息が漏れ出た。
貴重な日曜日を、これで二回も潰されたのだ。
『鳴尾家』というのが亡くなった父の実家だ。
私でも名前を知っている、電子部品分野では大手の会社を経営している一族だ。
「お祖父様がどうしても貴女に会いたいと仰せになりまして。」
「そうですか…。」
「もうご高齢ですし、奥様を亡くされて気落ちなさっておられます。
是非ともお顔を見せて差し上げ下さい。」
「と言われましても…。見ごたえのある物ではございませんし…。」
「お亡くなりになったお父上、鳴尾太一郎様によく似ていらっしゃるとか。」
「そうですね、母よりは父に似ているそうです。」
「それは、鳴尾様がお喜びになるでしょう。」