私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


ただし、毛糸はイタリア産のカシミア100%の高級品を使っている。
繊維部門に詳しい中塚に手を回してもらった輸入したばかりの特別な物だった。

「暖かい…。」
恒三は肩にかけたり膝に置いたりして、嬉しそうだ。

「まあ、小学生みたい。自分で作った物だなんて…。」

始まった。貴子は何としても菜々美の欠点をあげつらいたいらしい。
その時、招待客の一人が思わずと言った風に声を上げてくれた。

「素敵なお色ですこと!何色も複雑な組み合わせで…。やはり、イタリアの?」
「はい。イタリアのカシミアです。」

「流石、イタリアの毛糸は色合いが違いますわ。」

その女性はうっとりとした顔をしている。
編み物が好きなのか、一目でその毛糸の価値がわかったらしい。



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