私、あなたの何なのでしょう? 10年目の再会は愛の罠


 マンションに着くと、大丈夫だと言う菜々美を無理に説き伏せて
中塚も部屋まで入って来た。まだ菜々美の顔色は優れない。

申し訳ないと思いながらも、フラつく菜々美に彼の手助けはありがたかった。

「ゴメンね、付き合ってもらって。」

「それより、これ。」
「なあに?」

ドラッグストアの袋から、郁也が妊娠検査薬を出してきた。

「ええっ!これ、中塚が買ったの?」

「恥ずかしかったぞ。でもお前、これ要るだろ。」

「あ…。」

その時、初めて菜々美は思い至った。
いつも不規則だから気にも留めていなかったが、このムカつきは…。

「ありがと…。」
「すぐに、確かめてこい。」

「やだ、中塚が帰ってからにするよ。恥ずかしい…。」

「そんな事言ってる場合じゃないだろ!」

いつになく中塚郁也は真剣な表情だ。

「そうだね…。うん、確かめるわ。」

「待ってる。」

「うん…。」


もう、恥ずかしいとか言っている場合ではない事は菜々美にもわかった。
調べてみないと…。確かめてみないと…。

明日からの事が考えられない。


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