私を赤く染めるのは
月曜日の朝。教室に着いた途端、私は朱莉に人気のない旧校舎の階段へと連れて行かれた。
「朱莉?」
移動中、私の呼びかけにも終始無言だった朱莉。
周りに人がいないことを確認すると、ようやく口を開いた。
「……告られたんだって?碧人くんに」
「な、なんでそのこと」
「本人から聞いた」
私が今日、話したかった内容を朱莉はもうすでに知っていた。
前から思っていけれど、この2人の情報共有スピードはとてつもなく早い。
「朱莉はその……碧人くんの気持ちを知ってたの?」
「まぁね、駄々漏れだったし」
だだ漏れだったの!?全く気づかなかった。
碧人くんは誰にでも優しくて、それは出会った頃から今もずっと変わらない。
「で、告白されてどう思ったの?」
隣にいた朱莉は手を握りマイクのようにして私の口元へと近づける。
どう思ったの……か。
「……そりゃあ、ビックリはしたけど嬉しかったよ。今まで告白なんてされたことなかったし。だけど、碧人くんはどうしてもお兄ちゃんってイメージが強くて」
「まぁ、それもそうか。小学生の頃から知ってるんだもんね。だけどさ、よく考えてみなよ?碧人くんってスペック最強じゃん。私は新しい恋に目を向けるのもアリだと思うけど」
「新しい恋か……。そうなのかな……?」
「そうだよ。碧人くんは待つって言ってくれてるんでしょ?それなら前向きに考えてみなよ」