私を赤く染めるのは


ディスプレイには“お兄ちゃん”の文字。

こんな時間に電話なんて珍しいな?そう思いながらスマホを手に取ると同時に着信が鳴り止んだ。

「あ、切れた」

「どした?」

「お兄ちゃんから電話。だけどすぐ切れたみたい。間違いかな?」

念の為、かけ直そうとすると今度は違う通知が飛び込んでくる。

それをスライドしようとするとまた新たに通知が届いた。

それも何通も。

「な、何これ」


《○○さんがいいねしました》

《○○さんからコメントがきました》


全て同じSNSのものからで、そのアプリを開くと通知数が200件を超えていた。

さっき見たときにはなんの通知もなかったのに……。

私、何かしたっけ?と考えている間にも通知は止まらずたった数秒の間にプラス23件。


もしかして、炎上でもした?

……全く心当たりがない。

それに、今日はまだ何も更新してないはずなんだけど……。

自分の行動を思い返しながら、通達欄をタップしようとしたその時、



「おーい、桐山スマホしまえよ。体育館に移動!」

いつの間にか教室にいた宮ちゃんが私のスマホを指差し、しまいなさいとジェスチャーした。

私は慌ててスマホをスカートのポケットにしまい朱莉と一緒に教室を出る。

移動の間、隙きあらばスマホを手に取ろうとしたけれど、隣にいた朱莉が宮ちゃんと話し始めたせいで結局通知を確認することはできなかった。


終業式が終わると今度は宮ちゃんの方から話しかけてきて、完全にスマホチェックのタイミングを見失ってしまった。


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