私を赤く染めるのは



「……え、今なんて?」

「入居するマンションは決まったんだけど、契約できたのが9月25日だって連絡が来て。それまで煌のことは頼んだってさ」


「「なんだ」」

重なり合う2人の声。

一人は私、そしてもう一方は煌が発したもの。


「え、2人とも怒らないの?いいの?」


お兄ちゃんは私達の反応が怖かったらしく、私と煌の表情を交互に確認するとその場に座り込んた。

「よかったー!」

「まぁ、住むとこないんじゃ仕方ないでしょ」

「んん?ゆづ何だか嬉しそうだな。ハッ!もしかして煌を好きになったとか?」

さっきまで苦笑いをしていたお兄ちゃんが今度はみるみるうちに青ざめていく。

忙しない人だ。


「そんなわけないでしょ!もう少しバイト代が稼げるなーと思っただけ」

「本当か?」

「本当」

「俺ももう少しの間ファンの生態観察ができそうでよかった」

「ファンの生態って何よ」


「ハチハチーってよく鳴くじゃんお前。さてと、俺は風呂でも入ってきまーす」

煌はそう言うと鼻歌交じりにお風呂場へと消えていった。

あ、新曲の振り向く君に!

じゃなくて!よく鳴くって私のこと何だと思ってるのよ。




という訳で、

どうやら煌との同居生活はもうしばらく続きそうです。





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