私を赤く染めるのは
その想いは確信へ


煌との同居生活延長が決まってから1週間。

私は二学期が始まり、煌とお兄ちゃんは相変わらず新曲プロモーションで慌ただしい毎日を送っていた。

夏休みとは違い学校が始まってからは、煌と顔を合わせない日の方が多い。

それでも煌の様子はSNSでチェックできたし、まだ別れまで日があると思えば以前のような寂しさは感じなかった。


「なーんか、結月元気そうだね。ハチのおかげ?そ・れ・と・も、」

休み時間、朱莉が意味深な言葉と共に笑いかけてくる。

ニコニコ、というよりもニヤニヤといった感じ。




「げ、元気だよ?Bijou今すごくテレビに出てるし、推しに満たされてるって感じ?あ、もちろんハチね。今日SNSに載せてた自撮りも超癒された」

「はいはい、結月の推しはハチだもんね。それで?今日はいるの」


「夜に帰ってくるって」

外では細心の注意を払って煌の名前は一切出さずに会話をしている。

はじめの頃は周りを気にしすぎたせいで余計に怪しいと朱莉から注意をされた。

まぁ、たまたま誰かに聞かれていたとしてもアイドルとの同居なんて単なる痛い妄想としか受け取られないだろうけど。

「良かったね」

「だから、そういうのじゃないって」

「いや、そうじゃなくて。次はほんとに出て行くんでしょ?今のうち思い出作っとかなと」


「思い出……か」


そうは言っても煌と私の関係はアイドルと一ファンにすぎない。

< 78 / 165 >

この作品をシェア

pagetop