私を赤く染めるのは
同居しているからといってそこに変化はない。
一緒にご飯を食べられるだけでも十分幸せなんだよね。
「今のうちに胃袋でも掴んでおけば」と言う朱莉に私は「何それ」と笑って返した。
……その数時間後。
テーブルにはご飯、お味噌汁、サラダそれから4種類の主菜に6種類の副菜。
決して朱莉の言葉を真に受けた訳ではない。
スーパーをぐるぐるしていたら、たまたま買い込んじゃっただけで……。
冷蔵庫もパンパンだったし。
……ゔ、やっぱり真に受けたのかも。
「今日の晩飯やたらと品数多かったけど何かのお祝い?」
夕食後、お皿を洗っていた私にお風呂上がりの煌が話しかけてきた。
やっぱり、あの張り切りようはどう見ても不自然だったよね……。
誕生日にだってあんな豪華な料理は作らない。
「あ、あれだよ明後日は何の日でしょうか?」
私は必死に考え込み、それらしい理由をひとつ見つけた。
「明後日って……俺らのシングル発売日?」
「そう!正解!ほら、うちにBijouの煌がいるんだよ。そりゃあファンとしてはお祝いしなきゃいけないなと思って。明日はフラゲ日でバタバタするし、明後日は煌も忙しいでしょう?だから今日、前もってお祝いしたかったの」
……ちょっと無理やりだったかな?
そう思ったけれど、煌はその“言い訳”をあっさりと受け入れた。
ふぅー。Bijouへの愛でどうにか逃げきれた。