激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
意味深な視線に、なぜか石井くんが生唾を飲んでいる。
「何でですか?」
「だって、その画面の端々が、美優ちゃんの生活臭しないもの」
「画面に生活臭って」
苦笑しつつ画面を見ると、画面の端っこに映ってるサイドテーブルに、宇柳さんの腕時計が置かれてる。しかも私が撮影しているのだとしたら、誰かモップを押さえているの。
……やばい。矛盾が盛りだくさんだ。
宇柳さんが抱えていて、彼の骨ばっていないすらりとした長い指、大きな掌と対照的に小さなモップが可愛いと思っていたのに。
「誰の家で、誰の手なのかな、って」
「じ、実家です。父です」
「別に婚約者を隠さなくていいじゃないっすか」
二人が想像している婚約者とはとっくに関係は終わっている。
私の言い訳がましい言葉に、石井くんが吹き出したのは言うまでもない。
「……ふーっ」
ロッカーの扉につけた鏡の中の私の顔は真っ赤だ。
すっごい恥ずかしかった。絶対に二人にばれてなるものかとポーカーフェイスを装った。
今まで恋愛で盛り上がる人たちを見てきた。
いざ自分がそれで注目される側になるとは思わなかった。
私と宇柳さんは、気持ちが惹かれあったわけじゃなく、どちらからと言えば身体から始まったから、これを恋に発展させられるのか、させていいのか疑問だ。
だから、表舞台を知らない私には、周りにばれることは胃が痛むことでしかないのだった。
それに。