激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「守屋さん、オリジナル香水の依頼書回していい?」
「守屋、キャンドルナイトの企画書、どうなってる?」
「みっちゃん。この前言ってたバニラ系の香料、取り寄せしたのどこに置くの? 置く場所ないよ」
 散々仕事に没頭していたせいで、宇柳さんの仕事以外にも担当している仕事は山のようにある。しかも自分から喜んで引き受けたものばかり。
「やります。今から全部やります!」
 仕事人間として生きていくと思っていた私の土台が、今香りを放ちながら崩れ落ちていく。
 それが好きで引き受けたのだから、後には引けない。



 彼の会社の取引と並行して準備中なのは、駅前キャンドルナイトのアロマキャンドル。
 通信販売がメインのうちが駅で大々的に宣伝できる年に一度の繁忙期。
駅前の大広場中をキャンドルで飾り、その真ん中で写真撮影したりデートしたりと、冬を控えてのビッグイベント。うちの社の展示しているアロマキャンドルの前で撮影し、SNSで宣伝してくれたお客様に、そのキャンドルをプレゼントするので何百も用意しなければいけない。
「そういえば、社長に聞いたけど駅前のキャンドルナイトの担当も美優なんだってな」
 時間を見つけては送迎してくれている宇柳さんに、思わず驚いてしまう。
着々とうちの社長と親睦を深めているこの男もほんと要注意だ。
「キャンドルナイトは土日限定のイベントだそうだが、営業も美優か?」
「いえ。私はあくまで調香師ですので。営業は顔の良い石井って人です」
こだわりが強すぎるので企画や会議に首を突っ込んでいるだけだし。
「じゃあ一緒に行くか」
「そうです……え?」
思わず頷きそうになって、固まる。
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