激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「今、うちの会社もいるって言いましたよね」
「でも、好きだろ? キャンドルナイト」
「す、好きですけど」
もちろん行ってみたかったけど、そんなデートスポットにましてや石井たちがいるかもしれないのに行けない。
「スペースは分かってるんだから行かなければいい。まあ見せつけてもいいか」
「み、見せつけません!」
「じゃあ行こう。迎えに行く」
「勝手に決めないでくださいってば」
にやりと笑った宇柳さんは、信号が青になったので何も言わずに発進させた。
いやなら拒否をすればいい。どんどん彼のペースに呑み込まれ、自分で考えて自分で行動することを忘れてしまいそうになる。そう思うのに、綺麗な横顔を見ると視線が逸らせないでいる。
モップに会うために送迎してもらっているだけで、恋愛なんて私には今は必要ない。
社長に報告書を提出して、キャンドルナイトのイベントの予算を提出して、通販で予約されているオリジナル香水の香料を調合して――と私の一日はあっという間に終わる。
宇柳さんのことばかり考えている場合ではないのだから。
モップのせいで彼の家についつい入り浸ってしまうのは、認める。
でも、なんていうんだろう。
二人きりだと、ついつい甘い雰囲気とむせ返るような彼の甘くて胸が熱くなる香りに、流されてしまう。好きなのか良くわからないまま、あの首筋に顔を埋めたくなる。
なのに、モップがいるとその甘い雰囲気が少し薄れて、彼が優しい父性的な一面を見せる。
その柔らかい仕草、表情、言葉。とても暖かくて、見ていてドキドキしてしまうんだよね。
今日も、仕事が何時に終わるか分からないから行くかも未定。そう伝えたくせに家の前に来てしまっている。