激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

 優希と宇柳さんは違う。

一緒に居て、あれほど大切にされて、好きにならないわけはない。

傷ついても良いから素直になりたいかと言うと、まだどこか怖い自分が居た。
こんなメンタルの弱い自分が好きになれなくて、苦しかった。私は、本当に調合さえしていれば幸せな人生だった。あまりに香りフェチすぎて、満足のいく香りの人間と出会えたことがなかった。
このまま、この会社で自分の好みの匂いを探すだけで満足して終わる人生だと思っていたのだ。

なのに、今、ここまで宇柳さんの事を考えて幸せで、甘酸っぱくて苦しいのは、生まれて初めてのことだと思う。

『今日も来るだろ。駅まで迎えに行く』

駅に彼が迎えに来ると言うだけで、私はなぜこんなに落ち着かないで胸を締め付ける甘酸っぱい気持ちでいっぱいなんだろう。

すぐに駅へ向かうとロータリーに彼の車と、その横で煙草を吸っている彼を見た。
見えた瞬間、不安とか焦りとか晴れていくから現金だ。
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