激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「今までずっと、匂いフェチの、モテない人間で生きてきたんだから! 人前で甘えるとか下の名前で呼ぶとか無理!」
「あっそ。あのわざとらしいぐらい仕事に徹底してるふりも可愛いから良いけど。生きにくいなあ、モップ」
モップまで同調したように元気よく一声鳴くから悔しい。
大体、私が石井君の前で『聖さん。今日は早く帰ってね。ハート』なんて言ったら、その場で嘔吐しかねない。
「着替えてくる。そうそう知り合いのオーナーが、ブライダルエステを予約するなら早めにお願いしますって、大量にプラン案内貰ってきたぞ」
「ひ。なにそれ、辞書?」
袋に山のように入っているパンフレットを見て、悲鳴を上げそうになった。
ブライダルエステ、かあ。
結婚式はそもそもうちの親は呼べないので、ハワイで二人だけもいいかもしれないと思っている。
彼のご両親も海外進出に向けて、今はほぼロサンゼルスの会社の方に居るので、日本に帰ってきてもらうよりはこちらの方が大変ではないと思う。
辞書のようなブライダルエステを見ていると、テーブルに置かれた彼の電話が鳴った。
「聖さん、電話みたいですよー」
「ああ、放っておいてくれ。姉からだ」
大げさにため息を吐いた聖さんは着替えに寝室へ向かってしまった。
未だにに光っている画面に、悪いと思いつつちらりと覗く。
『宇柳碧』
確かにお姉さんだ。