激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「何かあったんですか?」
肩の鎖骨が見える、だぼだぼなキャラメル色のセーターに着替えてきた彼が、テーブルに座ったので聞いてみた。
「まあ。言うのも恥ずかしい。こら、モップ。スリッパから離れろ」
モップがテーブルの下でスリッパに悪戯していても怒ったりしない。
「姉は君と正反対で、自称恋多き女なので、それでゴタゴタしている」
「あ、そういうことですか」
深く聞かれたくないらしいので、言いたくなるまでは聞かないことにしておいた。
でも鳴っているよ、と伝えたはずなのに、電話に出ないっておかしい。
「モップも匂いフェチなのかな。スリッパの方が匂いが良いのかな」
「美優は止めろよ」
「何よ」
「本当にスリッパに手を出しかねない」
匂いフェチを舐めるなよ。こっそり嗅いでやる。
「あ、みどりだったか。出ればよかった」
ちょっと伏し目がちに画面を見るその顔が、格好いい過ぎて一瞬見惚れてしまった。
イケメンって携帯見るだけでもイケメンなのか。
「そうだ。婚姻届けはアルバイト先だったシャングリラと、今の会社の社長、どちらに書いてもらう?」
親に言わずに入籍する予定だったので、私の保証人の部分をどうしようかって言ってたね。
オーナーでもいいし社長でもいい。美麻でも構わないけど、問題は会社に報告するタイミングだ。
祝賀パーティーにはうちの会社全員招待してくれると言っていた。
その時に婚約の話もすると言っているので、先に同じ研究室のメンバーぐらいには報告しておくべきなのはわかっている。
婚約したと言って挙式の日にちをまだ伝えていなかった相手が、まさか一回変わっているとは思われないとは思うけど、言いにくい。
一応、指輪を貰って婚約っぽい流れになったけど、まだ聖さんのご両親には挨拶してないし、結納の方も話が進んでないし、なあ。
結納するならば田舎の祖父母がわざわざこちらに来ても良いといってくれていた。
結婚ってこんなに色々と大変だとは思わず、先延ばしにいていることだらけだ。