激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「……美優、悪い、一人にして――」

 彼が駆け寄ってきたので、私は自分から彼の胸へ飛び込んだ。
 私は彼に名前すら教えていないはず。

 なのに彼が私の名前を知っていることに気づいたけど、もうどうでもよかった。

「酔ってる? カクテル何杯飲んだ?」
「抱きしめて。嫌な事、思い出してしまいそう」

 家族も恋愛も、現実も、今は考えたくない。
 クジラもウミガメも泳いでいる、この美しい海の上で、汚いことを考えたくなかった。

「酔ってるな。水を貰おう」
「楽しい思い出を作ってくれるって言ったでしょ」

 抱きしめた私に、彼は優しく背中を撫でてくれた。

「一人の夜は、きっとつまらない事を考えてしまう。いいよ、付き合おうよ」
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