激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
彼は抱きしめ返してはくれなかったけど、私の背中を何度も何度も撫でてくれた。
今はそんな優しさが煩わしいだけだった。
浴びるようにカクテルを飲んで、今までのつまらない人生を愚痴って、きっと彼にとって退屈で面白くもない女性の話だったに違いないのに。
彼はずっと黙って話を聞いてくれていた。
***
水の音がする。地面に延々と叩きつけられている音。
その音が、シャワーの音だと気づいたのは、蛇口が閉まる音と同時だった。
鼻歌交じりの歌は、昨夜聞いたハワイアンミュージック。
スリッパの音を聞きながら、片目だけ開けると見知らぬ天井が見えた。
冷蔵庫が開いたあと、炭酸の抜ける音がする。
甘酸っぱい匂いとともに香るのは、このホテルのシャンプーだ。このブランドのシャンプーは購入して日本でも使いたいと思えた。
「ん? 起きてる? 起きれた?」
「んんー」
片目を擦っていると、その擦った拳に、アイラインが移った。
「え、えええ?」
「あ、すぐに起き上がらない方がーー」
彼の制止を聞かずに起き上がると、ぐるんぐるんと天井が回った。