激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
社長も急な打ち合わせを謝ってくれていたけど、アポなしでやってくる家族なんて心象が悪い以外の何物でも無い。
私は前世に何か悪いことをしたのかと神様に問いたいぐらいだった。
エレベーターを降りて、受付の前に出ると受付横の待合室のソファで姉が座っていた。
現在、フリーの宝石デザイナー。
とは聞こえが良いが、実際は社交的な姉は、一度はデザイン会社に就職しているが、無断の遅刻や欠勤、怠惰な勤務態度で解雇されている。そこからは自称フリー宝石デザイナーで家にいたはず。
その姉が腕を組み、私を睨み付けている。
私が近づくと、足を組み直しあざ笑った。
「なにそのだっさい服」
白衣を脱いで慌てて駆けつけたので、普段着のような格好なのは仕方ないが、普通だと思う。
「アポもなく来るような非常識な人間に言われたくないけど」
ため息と共に姉に外を指さした。
「今から打ち合わせがあるの。話がしたいなら代理人を立てるか、優希を間に挟んで」
「あんた、姉の私に慰謝料請求するんですって?」
うちの親に言った私が馬鹿だった。
溺愛する姉に話がいかないわけはない。
「逆にあんたが土下座するなら、あんな男返してあげてもいいけど? まあ私に夢中な男なんて返して可哀想か」