激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「アロマを入れた瓶の中に、花びらを浮かばせるのは不可能だろうか」
花弁?
彼の提案に私も目をパチパチさせる。アロマキャンドルにするならば可能かなって思っている。でもステンドグラスの美しい色合いの中に花びらでは目立たないと思う。
それならば私としてはボトルに細工をして、花びらの形にボトルを作り、注いだら花弁が浮かび上がるみたいな造形でいいと企画書を作る予定だった。
「花の特徴さえ分かればアロマの中に花を閉じ込めるのは不可能ではないとおもいますけど」
「そうねえ。でも花を大切にしない人には、その提案は薄っぺらいわよね」
「そう思います」
私と美術館長の言葉に、今度は素直に彼も謝った。
世界進出する会社の、祝賀パーティーで配られるアロマオイルの名前は『楚々』はどうかと提案した。イメージは清らかで控えめな女性した、美しい着物姿の女性のステンドグラス。ステンドグラスと着物の和洋折衷なデザインにぴったりだった。
あとはアロマオイルの香りの候補を決めて、色々と合わせていく。
この過程が好きなので、明日から仕事が楽しくなりそうだ。
「送って行こう。仕事場? 家?」
彼が時計を見て時間を確認してくれた。