激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「俺が悪いんだ。君は僕が居なくても生きていけるだろうが、穂乃花さんは一人では放っておけないって俺が暴走してしまったせいだ」

 必死で姉を庇う優希に吐き気がした。
 姉ほど強かで強欲な女性はいないのに、優希の目は節穴なのか。

「竹内くん、言葉は選びなさい」

 オーナーの低い声に、優希は身体を強張らせて、席に座り直した。
 オーナーのおかげで、式の予約キャンセル等は全て優希が払うことでまとまった。
 式のために溜めていた貯金は、全て私に渡すという。婚約破棄の慰謝料だと。

「本当は、穂乃花さんに妊娠でお金がかかるんだからって反対されたんですが、男のけじめってやつです」

 なぜか目を輝かせて力説するので、椅子で頭を殴ってやろうと思った。
 ここまで反省の態度を示していますと、彼は自分の状況に浸っているようだった。
 要するに、姉と生きていくために私への罪悪感をすっきり無くそうとしているようだった。
 彼も真面目が服を着たような、人。

 とびきりの美人である姉と結ばれて、舞い上がってしまっているんだろうなって見ていて分かる。
 彼も私にはもう気持ちがないんだ。

 一緒に披露宴の引き出物を吟味したり、一緒に住むアパートを探したり。
 招待状の文章を考えたりと、盛り上がっていた記憶が今はもう何十年も昔のように思えた。
 でもそれはきっと私も同じ。
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